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2009年4月25日 (土)

長尾剛「30のエピソードですっきりわかる『幕末維新』」(PHP文庫)

確かに解りやすい
またまた立ち読み。だから隅々まで読めてないとは思うけど、一応感想をメモっておく。
また幕末かよ?という感じだが、いつ脳内ブームが去るか解ったもんじゃないので、今のうちに沢山読んでおこう。私は飽きっぽいのだ。(爆)

物語風のエピソード+平易な説明。ザッと読んで30分ほどでだいたいの流れが掴める。それくらい解りやすい。エピソード部分は会話文が多くて親しみやすい仕上がり。維新の象徴的な場面が上手に纏まっていると思うよ。だから、もともとこの時代に詳しい人が読む本ではないだろうし、作者の長尾先生もそのつもりで執筆していらっしゃると思うが、どうなんだろうね。
幕末維新(ペリー来航から西南戦争くらいまで)が苦手だ、という人は、藩や幕府の関係、外国との関係など、「相関図」が描きにくいと言う。だいたいこんなに短い期間に天地がひっくり返るのだ。何がどうなって、どうなっちゃったのさ?というのが正直なところだろう。そういう人にとっては読みやすい本だと思う。かく言う私も別に幕末史に詳しいわけではないから、こういう本は嫌いじゃないのである。

考察が浅い気もするけど
幕末本を読むとき、とりあえずチェックすることがある。幕臣たちに対する評価だ。(幕臣好きだから。笑)
特に幕府海軍の連中への評価、大久保一翁&勝海舟の両氏(幕府を投げ捨てた側)並びに小栗忠順さん(徹底抗戦を主張)に対する評価。この辺が自分の考えと大幅に違っていると読んでて不愉快になったりするわけである。(爆)

本書は・・・不愉快ってほどじゃないんだけどさ。
まず、大久保さんが活躍しない(笑)。ただ、この人はキャラクターが地味なせいか無視されがちdownなので、この状況には憤慨しつつも慣れた。まぁ、もうひとりの幕府投げ捨て組(恭順派)の代表、勝さんへの評価に大久保さんへの評価が含まれているのだと思えばいいか。ふたりは「二人三脚」で幕府を看取る仕事をしたわけだからgood
じゃあ、本書の勝さんへの評価はどうなのよ?と言うと・・・これがまた微妙なのだ。
勝手に纏めるけど、「勝麟さんは最後の将軍ケイキさまの身の安全ばかりを考えていた。ケイキさまが小栗さんじゃなくって勝さんにすべてを一任したのは自分の命を守ってくれそうだったから。そんで、勝さんはケイキさまに忠誠を尽くしたけれど、おのれの『忠義』とやらのためには徳川体制も新撰組も江戸の町も犠牲にして良いと思ってた。江戸を救ったのは、勝さんたちじゃなくって山岡鐵つぁんの大博奕なのだ。」・・・という具合。
小栗さんのこともね、幕藩体制の維持が目的だった=生かしておくと恐い人物だった→殺された、という感じで書かれてるけど、これも説明が足りんのよ。短絡的というか。

・・・その辺りが、どうも気に入らねえ。

じゃあ、どうして幕府の両輪(本書ではそういう評価)だった小栗さんと勝さんは違った立場をとることになったのか。その背景についての考察がない。そして、その後の可能性についての言及もない。小栗さんが徳川の御代と幕藩体制の維持を第一に考えたのは何故なのか、維持するために戦争して、その後どうするつもりだったのか、或いは彼のプランが実現していたら、それが日本の社会(これは支配者側の話じゃなくって庶民側の話)にどんな影響を与えていたのか。そこまで踏まえて語ってほしいわけだ。こういった作業を踏まえないから(もしかしたら敢えて無視したのかもしれないが)「いざとなったら官軍ごと江戸の町を焼き払っちまうぜ、そんときゃ殿さんを英吉利の軍艦に乗せて倫敦に逃がす算段だ、パークスとは既に話がつけてあらぁ」という話の上っ面だけをとらえて「ケイキさまを助けるという忠義のためなら手段を選ばない或る意味冷血な軍人」という勝麟像が生まれてしまうんじゃないか。
だいたいケイキさんを亡命させようと思ったのは、一戦を交えることになった場合は恭順を決めた賊軍の将が戦争に関わっていないことを証明するため(ケイキさんが悪いんじゃない、ということかね)という部分があってのことだし、抗戦しないことを決めたのは、どうせ潰れる幕府になおもしがみつく石頭連中(失敬)や薩長の田舎侍(益々失敬)の都合で起こった内戦のために、武器を持たぬ人たち(この人たちが国の主役)が命を落とし荒れた国土を背負い国の借金のツケを払わされるのは道理に合わないと思ったから、じゃないのかね。んで、おそらく実務担当の大久保さんもおんなじことを考えていたのではないかと思うわけだ。

「俺の忠義のために死んでくれ」だなんて、随分とケチな台詞である。何をか言わんや、この人の忠義は御一新後30年をかけてやっと完結する一大プロジェクトshineなんだぞ。・・・と力説する私は勝さんを買い被ってると言われても仕方ないのかねえ。
・・・ただね、本書の勝麟さんのキャラ設定は悪くないのよ。海が大好き、甲板のブラシがけなんかも進んで行う気持ちのよい男で、町人ばりの江戸語を話す親しみやすいキャラなんだわ。その点は悪くない。
だからこそ「生まれながらの参謀」であり「行動する学者」である硬派でかっこいい一翁さんの話もしてくれって思うわけさ。もしやキャラクター設定が難しいとか・・・?

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