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2009年5月24日 (日)

旧新撰組・結城無二三さんと勝先生 ②

続きです。
書いててワケが解らなくなってきたけど、妄想半分で続行。
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お屋敷の居間に通された結城さんを待っていたのは、色の白い、ぱっちりとした顔立ちの、何処となく飄々とした雰囲気の男だった。意外なほどに小柄である。しかしながら如何にも気の短そうな短く濃い眉といい、炯々と人を射抜く黒瞳勝ちな双眸といい、やはり只者とは思えぬ。うむ、この御仁が音に聞こえし奇傑「勝麟」か。あの慶喜さまですら楽々と説き伏せられてしまうという恐ろしい雄弁家と聞いているが、なるほど確かによく喋りそうな唇である。
結城さん、早速名刺を差し出して初対面のご挨拶をしようとしたら、勝さんは開口一番冷ややかに言い放った。
「何しに来たぃ。」
出鼻をくじかれて結城さんは呆然とした。だがこの雄弁家の舌がそんな結城さんなんかに構っていようはずがない。勝さん、一気に捲し立てる。
「静岡藩はな、公用人の許しがねえと出府するこたぁならねえ筈だ。おめえは許しを受けて来たのかい。おいらはまだそんな通知ァ受け取らねえよ。それに何でぇ、おめえの名札にゃァ『旧新撰組』なんて書いてあるじゃねえか。ぜんたい近藤だの土方だのってえ大馬鹿者が、ワイワイ騒ぎ散らしたから徳川(とくせん)家はとんだ迷惑をしたんだい。時機も大勢も何も解らねえ癖に無闇に騒いでよ、それに雷同しやがるおめえのような連中までいるから困るんだい。
こっとら御家のために色々骨を折って働いてぇるのに、おめえたちァどうだえ、奸物だの不忠だの三百年来の御厚恩を知らぬ大悪人だのと太平楽をぬかしゃァがって、おいらを殺そうとするじゃねえか。尋常に刀を抜いてくりゃあ、こっちも昔の勝麟太郎に戻って五人や十人スッパリと斬ってやるってえのに、鉄砲で闇討ちしょうとしゃあがるような卑怯なヤツばッかりでよう。そんな卑怯な玉で何でおいらが死ぬもんか。おいらが死んでみろ。御家じゃァよッぽど御困難なことだったろうよ。
ああいう連中を慷慨家とか何とか言うそうなが、知恵がなくって、オマケに臆病と来らあ。始末に負えねえったら、ありゃしねえや。どうせおめえなんぞも大馬鹿者の手へ附いて騒いでたクチだァ、今またどんな馬鹿をやらかすか知れたもんじゃねえ。とっとと沼津へ帰ぇりな。それとも何か用があるかえ。」
よくもまぁ、こう次から次へと悪口が飛び出てくるものだ。しかも超一流の早口である。結城さん、少々気押されそうになったが、何とか気を取り直して徐に口を開いた。
「然様、わたくし今回の出府は私事に似て私事では御座りませぬ。」
そして、実は安部氏より斯く斯くの内命で早川・福井の首を取るために参ったので御座ります、とやらかした。
勝さんは黙って聞いていた。が、やがて憐憫とも冷笑ともつかぬ表情になって結城さんをじいっと見つめる。
「・・・それ見ろアホウだ。」
大馬鹿者の手下どころか、今度は阿呆呼ばわりである。結城さんも少々腹が立ってきた。が、勝さんはお構いなしだ。如何にも皮肉屋らしい表情を浮かべ、こう続ける。
「首を取ってこいってぇのはよ、そりゃあ表向きのことじゃァねえのかい。安部にゃァ首を取らせようなんて心は毛頭ねえぜ。そんなことも解らねえのかなあ。そいだからおめえはアホウなんさ。江戸にはな、町々を巡邏している兵隊がわんさといるんだ、縦し早川の首をとったところが、おめえも直ちにお召取だぜ。そうなりゃおめえ、差詰め迷惑するのはこの俺だ。おめえの命なんざ安っぽいから、なくなろうとどうなろうと困らねえが、俺が困らぁ、いやサ俺ばかりじゃねえ。徳川家がご迷惑だ。そんぐれえのことが解らねえから馬鹿だってぇんだい。おめえのようなベラサクが江戸表に用があっちゃあ堪らねえや。いいから早えとこ沼津へお帰りよ。」
何だか情けなくなってきた。この人に金を無心しに来たのがそもそもの間違いだったのかもしれぬ。他に宛があるという訳ではなかったが、ここにいても仕方がない。
「・・・然らばわたくしは、これにて御免被ります。」
血気の結城さん、決然と席を立とうとする。勝さんの目がチカッと異様な光を放つ。
「帰ぇるならおめえ、飯でも食っていきゃァがれ。」
一体何を考えているのだろう、この先生は。俺を阿呆呼ばわりしておいて、今度は飯を食ってゆけとは。それにどうせ飯といっても大したものが出てくるわけもなかろう。書生に出してやるような詰まらぬものに決まっている。
「いいえ先生、わたくし窮してはおりまするが未だ中食の代(ちゅうじきのしろ)くらいは御座りまする故・・・」
「ってやんでえ、俺が食ってゆけってぇったら、食ってゆけやい。」
そこまで言うなら仕方ない。でも本当は結城さん、腹が立っている以上に腹が減っていた。
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次回で完結・・・の予定。
勢いで書き始めてみたものの、文才がないんで難しい(汗)。
江戸弁っぽい言い回し(「おれところの・・」みたいな言い方するし、難しいんだよね)を考えてたらコッチも口調がおかしくなってきたんで、今日はここまで。

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