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2009年5月10日 (日)

また買い占めてきた。

といっても、今度は「ハバネロ」ではなく、漫画本。

「風雲児たち」っていう歴史ギャグ漫画があるんだけど、前からちょっと気になっていたんで、ふと思い立って古本屋の漫画コーナーを覗いてみたのだ。

そしたら、ありましたよ。
たった2冊。
ワイド版のほうじゃなくて、幕末編の2巻と11巻が。

1巻がない上に、間の8巻がゴッソリ抜けてるわけだけど、まぁ、これ「歴史物」だし途中からでも困らないや・・・ということで2冊とも買って帰ることに。

「風雲児たち 幕末編」 2巻&11巻。
1冊105円、計210円shine也。安上がりだ。

帰ってから早速読んでみた。

自分は普段、本を最初の1頁から読んだりしないことが多い。適当に開いた頁から読み始め、ちょっと読んで気に入ったら目次から読み直す。
今回はたまたま11巻のほうが先に手に触れたんで、適当に開いてみた。

で、最初に目に飛び込んできた台詞が

「俺ァ、キンタマが片っぽしかねえんだーーーっ」。 

何この不意打ちw
イキナリ威勢のよい下ネタである。
よく動きそうな眉に、ぱちっと表情豊かな目、尖った鼻の男がガバッと口を開けて怒鳴ってる。怒鳴られてる人は、その勢いに仰け反って派手に吹っ飛ばされてる。(笑)

幕末で・・・というより日本史上「キ○○マ」のネタは「あの父子」の専売特許だ。(西郷どんは例外。)
しかも幕末キャラで、こんな言い回しの、こんな台詞を平気で吐くキャラなんて「江戸っ子」K氏の他に居るまいて。

ギャグ漫画「風雲児たち」のキャラでしかないとはいえ、
麟太郎くんとのご対面がこんなものになろうとは意外だった。
(隻腕・隻眼のヒーローっているけど、隻玉ってビミョーだぞ。)

とりあえず、若干感想をば。

キャラクターについて
通常の・・・というか、シリアスな歴史モノのキャラクターに比べて絵柄が異常なほど軽い。そこで好き嫌いが分かれそうだが、私は「好き」である。
誰ひとり格好良く描かれてないし、特別似せてあるワケでもない。
似ちゃいないけど、「あー、わかる!」という感じ。

吉田寅次郎(えっと、吉田松陰です)なんかは右と左の目玉が違う方向を向いてるアホ面なんだけど、これは温かく情熱的な教育者としての顔と、テロリスト並み(失敬)のエキセントリックさとが同居している一種の狂気のあらわれとしては適切な表現かもね。こんなアホ面だけど、もしかしたら教科書に載ってる有名な肖像画(有り得ない老け顔。笑)よりもずっと寅次郎っぽいかもしれない。(「僕は・・・であります」っていう喋りもちゃんと史実に合わせて決めたんだろうな。)
ハンサムで真面目でバランス感覚に優れていて、でも何となく「小物的な軽さ」がある桂小五郎も然りである。似てるかどうかは別にして、確かに「小五郎っぽい」のだ。
幕府側の人物もちゃーんと描いてくれていて、青年宰相・阿部正弘さんはあの穏やかな眼差しと重圧を背負わされた感じがよく出ていると思うし、まだあんまり活躍してないけど大久保忠寛さん(のちの一翁さん)なんかは、実によくできた大人のキャラクター(夜の、という言葉が付きそうな感じという意味じゃないよ。)に描かれていて嬉しい限りだ。
彼の「弟分」、勝麟太郎は先程ご紹介したような台詞回し(町人言葉+お上品とは言えない内容)の男だが、庶民的で荒っぽいけれど気っぷがよく根はサッパリしている江戸人らしいキャラになっている。なおギャグ漫画的には外せなかったのだとは思うが、予想通り「オランダ語はペラペラだが乗り物に弱い」設定になってる(爆)。
なお、作者のみなもと先生は、この2冊を読む限り村田蔵六にシンパシーを感じ(無愛想な上にすんごい理系キャラ。笑)幕末の人物としては坂本龍馬が好きに違いない、と私は思った。

中島三郎助
11巻の「キ○○マ」発言で吹っ飛ばされてた御仁。(笑) ペリー来航直後から幕府の役人として活躍し、近代の造船学の第一人者とも言えるような人物である。海軍伝習所では確か士官候補生だった。
この漫画では艦長候補生兼伝習生監督者の麟太郎くんと喧嘩ばかりしているが(元ネタは寅次郎の手紙)、まぁ「技術畑の人」で「優秀な官僚」だった彼には、箸にも棒にもかからないと評判の小普請組(幕臣最下層、無役)の出で、基本が「政治家」の麟さんは胡散臭くて仕方なかったろう。
11巻では日本人の伝習生たちが自分たちの力だけで観光丸を操舵して品川に戻ってくるシーンがある。中島さんも家族と再会するんだけど、彼も息子の恒太郎くんも英次郎くんも函館戦争で戦死しちゃうんだよな・・・と思うと何だか悲しくなってしまった。

我々はキャラクターたちがその後どうなるかを知っている。
歴史物を読む哀しさというのは、そのあたりにある。

島田虎之助
天保の三剣豪とか幕末の三剣士とかいわれる人たちの中のひとり。
この人は15歳で中津藩で敵がいなくなり、その後すぐに西日本で敵がいなくなって、儒学や禅学(ときどき恋愛も)をやりながら7年かけて江戸に出てきた・・・という剣術の大家である。
島田先生は39歳で亡くなっちゃったけど(2巻)、もっと長生きしていれば「剣聖」男谷先生の道場を継いでいたかもしれない・・・なんて私は思っているんだが。
剣豪・島田先生はただの剣術遣い(失礼)なのに何でこんなに大きく扱われているかといえば、おそらく島田道場の一番弟子が麟太郎くんで、島田先生の元で修行していた時代が彼の肝っ玉のデカさに影響を与えたと言われているからだろう。
この漫画では、おそらく「慶昌公に死なれ出世の望みが消えて人生がイヤになってヤケっぱちになりそうだった麟太郎くんを『更正』させる役割を果たした人生の師」という位置付けだろう。(2巻の内容だけで判断してるんで違うかもしれないけどさ。)
史実とはだいぶ違う気もするけど、島田先生ほどの教養の高さと剣術の哲学を持った人なら、そんな設定でも面白いわな、と思ったりもした。
この漫画でも若干コワめの顔だけど、島田先生の実物も茶色の瞳が異様に光る恐い顔の御仁だったそうだ。

・・・てなわけで、えげつないまでのギャグと、軽い絵柄が気に入った人なら歴史嫌いでも読める漫画だよ。
また古本屋で見掛けたら、買おうっと。
面白いわ、コレ。

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