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2010年2月25日 (木)

工藤美知尋「日本海軍の歴史がよくわかる本」(PHP文庫)

なんかPHP文庫の「海軍本」ばかり読んでいるような気がするんだが(笑)。
 
 
内容は「中級以上」といったところか。
初心者には難しいかもしれない。当方は初心者同然ではあるが、海軍本自体は初めてではないので何とか読めたわけだけれど、入門本としては若干難しいんじゃないかとは思う。
 
実は自分自身、これを古本屋で発見したとき買おうか買うまいか少々迷った。やっぱり難しそうだったからだ。購入を決意させたのは表紙のメンツである。
「本書であまり取り上げられていない人物が表紙に登場するわけはなさそうだ・・・となると、このメンツを大きく扱ってくれるのならば、まんざらフィーリングの合わない本というわけもあるまいさ。」ということで。

Photo
ちなみに自分が判別できるのは5人。
秋山真之中将、勝安芳海軍卿閣下(てか軍艦奉行・勝麟太郎だ^^;)、加藤友三郎元帥、東郷平八郎元帥、山本権兵衛大将。以上五十音順。
 

本書は日本海軍の栄光と崩壊に至るまでの「航跡」を描く本格派海軍歴史本である。組織、制度、海戦の模様などの「各論」は勿論、海軍の成功と失敗を追っかける「総論」的な部分もしっかりと述べられている。細かなデータや象徴的なエピソードなどが随所に盛り込まれている点が何とも親切で有り難い。 黎明期の希望と危機感、明治期の躍進と大正期の深化と翳りの時期を経て、陸に揚がった「能吏」たちが海の男としての、そして国民を守る軍人としてのリアリズムを失っていった経緯が「よくわかる本」なのだ。
個人的には川上操六vs山本権兵衛の対決がやけに印象的だった。山本大将、万歳。
 
以下、おまけ。

■伊東祐亨元帥の評価
工藤先生の評価は決して高くない(笑)。でも個人的には好きな軍人さんだ。貰った勲章は「自分が代表で貰っただけ」、一番の思い出が「重傷を負った水兵さんが自分の手を握って『長官・・・ご無事でしたか』と言って事切れたこと」、清国の司令長官・丁汝昌の遺体を乗せた船を見送るときに弔砲+艦隊全員敬礼で見送ったという人だ。まずは紳士であれ、という、或る意味海軍の手本のような指揮官なんだよね。戦をする上での評価は別にして、立派な軍人のひとりだと思ったりもする。旧薩摩藩士、神戸海軍操練所出身。
 
■べらんめえ軍艦奉行、或いは初代海軍卿閣下のこと。
工藤先生は・・・たぶん閣下のことが好きでいらっしゃる(笑) 「日本海軍の生みの親、勝海舟」って見出しまで付けて閣下の話に頁を割かれてるくらいだから。でも個人的には龍馬との話を書く前にもう少し勝麟こそが「生みの親」である理由をしっかり書いてほしかった。仕方ないから、ここらでちょいと補足しちゃう。(何だ偉そうに。)
 
幕府海軍には優秀な船乗りがいた。これは事実。(ただ、戊辰戦争のときに海戦以外の場面で船を沈没させちゃってるあたり、幕府海軍自体が優秀だったかどうかというと謎^^;) テクノクラートとか士官ってことなら、麟さんなんかよりずっと役に立つのがいたと思う。矢田堀景蔵とか、赤松大三郎とか、いろいろ。
 
それでも勝麟が「生みの親」だってのは、彼が国レベルで外交や貿易など、政治経済の観点から海軍と国防の在り方をトータルに考え、そういったことを次の世代に伝うべく教育に力を入れていたからじゃないかと思うよ。実際に明治の日本海軍で中心的役割を果たす人材を世に送り込むことにも成功している。幕府海軍が直接的には日本海軍と繋がらないことを考えると、尚更「日本」海軍の船出に閣下以上に大きな貢献をした人物がどれほどいるのか、という話になってこようというわけなんですわな。
 
で、この本、閣下の旧幕時代の肖像写真を載せてるんだけど、よりによって如何にも只者でない雰囲気を醸している写真をチョイスしちゃってるんだよね。
しかも和装に洋袴っていう^^;(↓下↓)
Photo_2
・・・やっぱりどう見ても普通じゃないよ、閣下は。
 

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