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2010年3月29日 (月)

「幕末伝 -浅葱の刻-」(エンターブレイン)

幕末アンソロジーコミック。実は倒幕側の「暁の詩」が同時発売だったようなのだが、そっちは遠慮しとく。何だかんだ言って、こっとら江戸好き・幕臣好きなもんでね…。

この本、表紙はシリアス系のイラストだが、劇画風あり、少女漫画風あり、ギャグ漫画あり…の作品集である。史実を下敷きにしたファンタジーやギャグが嫌いじゃなければ軽く楽しめる。悪意のない創作ならOKという人なら好きな作品に出会えるかもしれない。少なくとも「教養がなく先祖への敬意のない人が作る悪意に満ちた幕末コスプレ劇」(別名=2010年大河ドラマ)より出来の悪い作品は収録されていないからご心配なく。
 
 
自分は新撰組ならインテリ隊士・山南敬介が好きなんで「壬生くろねこ異聞」は悲しいながら味わい深いファンタジーだと思ったし、ケイキさまをネタにした「徳川インコ慶喜さん」は、極端なギャグにカモフラージュされた最後の将軍の哀しき真実に苦笑い。将軍家の仲良し兄弟とハンサムだが野良猫みたいな性格の御学友の交流を描いた「航海前夜」は、少年たちの年齢設定に若干の違和感があったものの、健康に育った筈なのに14歳で突然逝った弟と、病弱な身体で35歳までは何とか生き延びたが「泥船」が沈む前に亡くなった兄、そして「泥船」の元乗組員たちの世話をしながら戦後30年を生き抜いた御学友のそれぞれの人生を思うと何とも切なかった。

 
生き残っちゃった人があんまり出てこないし、だいたい「滅びる側」の話ばかりなので、全編を通して(チビキャラ大行進のギャグタッチの作品でさえ)儚さや切なさが漂う。自分は無責任な「滅びの美学」なんてものは大嫌いだが、滅びゆくものが最後に見せる一瞬の煌めきの美しさを否定する気はない。
 
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■「航海前夜」の少年たち。
 
このあたりの事情についてはハンパに知識があるんで、一応自分の知ってる範囲で史実っぽい話もしておくか。(てか、ただの登場人物についての補足だけど。)
 

* 家祥さま:後の13代将軍・家定公。本当はまだ政之介という名前だったと思う。生母は御部屋さまのお美津の方。家慶公の息子たちのたったひとりの生き残りだが、身体が弱く、何らかの障害を持っていたとも言われ、子供もいない。妻は薩摩から嫁いできた天ショウ院さま。(クソッ…「ショウ」が変換できねえ・・いや、ここ暫く馬鹿ケータイで更新してるんでね・・) 1824年生まれ。
* 初之丞さま:後の一橋慶昌公。12代将軍の家慶公は、病弱な四男・政之介さまより五男坊の初之丞さまに期待していたという話も。祖父の家斉公が彼に変な御学友をつけたのも期待感の表れか? 1825年生まれ。
* 麟太郎くん:当ブログでは最早言及の必要もない気がしなくもないが…家斉公が「一目惚れ」した腕白美少年。初之丞さまは彼を相当気に入っていたらしい。彼の遺品のなかに初之丞さまが下さったというお子様サイズの裃だか肩衣だか(葵の御紋入り)が存在する。当時からニックネームは「麟さん」。1823年生まれ。(3人の中では一番年長ですな。)
 
 
この作品では初之丞さまが政之介さまや麟太郎くんに比べてかなり幼いことになっているが、ホントは1歳ずつしか違わないんだよね。それにあのワンパクが御殿に上がっていたのは7歳から12歳までだし。…まあ、ファンタジーだから史実なんか別にどうでもいいんだが。
 
 
おまけ:
仲良し兄弟の会話。
家祥「初之丞 飼い犬のしつけがなっておらんぞ」
初之丞「兄上っ 麟太郎は犬ではございません」
 
…この遣り取り、きっと笑うところなんだろーな。いろんな意味で(笑)

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