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2010年4月 8日 (木)

小谷野敦「大河ドラマ入門」(光文社新書)

恥ずかしながら小谷野先生のお名前を最近まで存じ上げなかった。最近「小谷野敦という大河マニアの文筆家がいる」と知ったのだが、それまでは「小谷野」と云えば、同期の「小谷野くん」と「小谷野玖磨」くらいしか知らなかった。(←誰だよ。)
 
 
何故特別大河好きでもない私がこんな本を読もうと思ったかと言えば、幕末大河「篤姫」や「龍馬伝」の悪口ばかり言っているくせに大河ドラマそのものについてはあまり知らないことに気付いたからである。
上の2作品のみでなく最近どうも駄作続きのように思えてならないのだが、それだって私がハッキリ内容を覚えているのが「篤姫」と「天地人」くらいであり、あとは「大平記」とか「翔ぶが如く」くらいは見たことをウッスラ記憶しているというだけだから、最近の大河ドラマが相対的に酷い出来なのか、或いは大河ドラマそのものがああいうクオリティが許されるものなのか判断できないのである。(まあ、「大平記」や「翔ぶが如く」については最近のペラい台詞大行進や高齢キャスティングの目立つ阿呆大河とは明らかに違っていたと思うのだけどね…。)
本書は小谷野先生の独断と偏見?で書かれた「四方山話」だから、これを基準に作品の出来がどうの、という判断はしかねるし、大河を解ったつもりになるのは危険である。だが、これまでの歴史をオサライでき、大河ドラマというものを見る幾つかの視点を提示してくれる本としたら大変面白いし、「入門」本としては有難い本だと思う。個人的にはしょっちゅう出現するユルい似顔絵(小谷野先生自筆)がツボだった。
 
 
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以下、雑感。
 
 
■役者の年齢
最近個人的に一番気になるのが、登場人物の実年齢と役者の年齢のギャップだ。ストーリーを考える上で人物の年齢の設定自体を変えちゃったのなら、それはそれでOKなのだが(ドラマは創作だから)、設定は45歳、中の人は65歳…とか、実年齢は3歳違いで設定も史実と同じと思われるのに、中の人の年齢が20歳違うとか、そういうのが気持ち悪い。というより、そこに違和感を覚えない制作者が何より気持ち悪い。(「篤姫」の斉彬公や勝先生、「天地人」の信長と秀吉、「龍馬伝」の以蔵と龍馬など。)
キャスティングの年齢調整の難しさについては小谷野先生も指摘されていて、実年齢でキャスティングしてしまうとクレジットタイトルの最後=「止め」の俳優がいなくなってしまうという問題が生じるからだという。なるほどな…とは思ったが、そんなことを理由に高齢大河を見せられるほうは堪らねえや、と思ったのは自分だけか。
 
 
■大河のOP
実は自分、かなり昔から「花神」(ハナガミと読んだオマエ、赦さん)と「勝海舟」の着メロはアラームとして使っていたのである。何れも民放のTV番組でBGMとして使われていたのを気に入って曲の正体を突き止めたら、大河のOPだったというだけの話。前者は、志を胸に自ら未来への扉を開け、サクサクと着実に人生のスタートを切ってそうな感じ(ってどんな感じだよ)が滅法気に入っており、後者は未知なるものを愛し困難を恐れずに世界に飛び出してゆくような勇壮さと、ふと波間に煌めくロマンの欠片のようなものが見える瞬間(?)が好みである。最近になって着うたが存在することを知って迷わず落としたが、改めて聴いてみると、ドラマの主人公であるゾーロクさん(=大村益次郎さん)や麟さんの人生をちゃんとイメージして作られているんだなあ、と感心してしまう。最近若干幕末維新に詳しくなってきた身としては、特に。
と思ったら、小谷野先生も「花神」と「勝海舟」は高評価を下していらっしゃる。だからどうってこともないが、仲間を見つけたような気がして何となく嬉しかった。
 
 
■「史実と大河ドラマ」の章
私も大河を含む時代劇のなかで人物が諱(イミナ)で呼ばれているのはホントは変だよな…と思っていたクチなんで、ニヤニヤしながら面白く読ませてもらった。
高校の日本史が面倒で仕方なかった自分が完璧についていけた話題は「篤姫」の中の史実とフィクションに関わる話のみ。勿論、深夜まで連んで遊んでいた41歳の将軍家未亡人と一回り年上の旧旗本Kさんの「怪しい話」も載っている。彼らが「姫君」と「騎士(ナイト)」の関係でいられたか否かについては、私も「否」の可能性が高いと見ているが、ドラマのキャスティングが40代の俳優さん×30代の女優さんだったら、最終回の夜のデートシーンはさぞかし生々しい雰囲気が漂ったことであろう、と悪趣味な妄想をしておくか。
 
因みにそのセクシィ旗本が壮年時代に大恋愛をした相手、長崎の未亡人の名前が最初に挙げた「小谷野玖磨」(通称=お久さん)ね。これについても本書に記述があったりする。
 
…まぁ、Kさんがワルい男だという結論で宜しいですかな(笑)

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