勝先生と爵位の話①
あれは自宅のPCにExcel2007を導入した直後の話なので、かなり前のことです。
仕事で本格的にExcelを使う機会もなく、このままだと操作の仕方を忘れてしまいかねん、と思った自分は、何を思ったか「華族一覧(勲功者編)」を作ってみることにしました。
受爵者、家系、出身地、受爵年月日、爵位、主な役職や功績・・・といったものを表に纏めただけなんだけどね。
世間の「ヘンカツ嫌い」(アンチ勝先生)の皆さんの攻撃材料のひとつとして、よく引き合いに出されるのが、この受爵を巡る話である。
旧幕臣・榎本武揚、子爵。
同じく大久保一翁、子爵。
同じく山岡鉄舟、子爵。
んでもって、勝海舟、伯爵。
・・・旧幕臣の主立った連中3人が子爵さまなのに、勝さんだけ伯爵さまってどういうことよ?
そう思う連中は当時からいたらしい。
「本当は他の連中と一緒に仲良く子爵を貰う予定だったのに『五尺にたりぬししやくなりとは』という狂歌によって一つ繰り上げさせた」と、いう本当のような嘘のような噂が明治の御代から平成の時代まで途切れることなく伝わっているのである。
狂歌は馬鹿みたいで面白いが、繰り上げ要求なんて無粋なことをあの勝さんがやらかすだろうか、と思いながらデータで遊んでいた訳だけれど、そうするうちにやはり「繰り上げ受爵」は嘘じゃないのかなあ、と、別にひとりだけ伯爵さまでもおかしくないんじゃないかと思えてきた訳ですな。
一応、その理由を述べておく。
①確かに全員1887年の受爵だが、上の3人が5月24日に受爵しているのに対して、勝さんだけが、それより少し前の同月9日に貰っていること。
②1887年5月9日に伯爵さまになってる連中(板垣退助、大隈重信、後藤象二郎の3氏+勝さん)は全員「参議」を経験していること。更に旧幕臣の子爵さま3氏は「参議」にはなっていないこと。
これらの話から判断する限り、勝麟は「子爵をあげます」って言われて「イヤだ」と言ったから伯爵さまになったということではなくって、旧幕臣仲間とは別枠で爵位をもらっていたように思えてきませんかね。
ふん、なんだ。初めっから伯爵さまだったんじゃないか!!
・・・と世紀の大発見でもした気分になっていたんだけど、もしそうだとするならば、どう考えてもこんなことくらい研究者の方ならば突き止めているに違いない。
と思ってたら、やっぱり。
去年の初めに勝麟研究家として有名な松浦玲先生がもう20年も昔に「狂歌で繰り上げ爵位は『ゴシップ』」と結論づけていらっしゃるという事実を「日本のアジア侵略と憲法九条 -田中正造、勝海舟、福沢諭吉、徳富蘇峰を見直す-」(下町総研)という本で知ることとなった。
さすがは松浦先生。
ときどきイヤになるほど厳しい批評をする先生だけど(しかも感情的なんじゃなくって理詰めなんだよな・・・)、そんな先生のおっしゃることだからねえ。「ししやくなりとは」は、やっぱりゴシップなのかな。
勝先生受爵の話は、近々続編を書くと思います。
今日は妙に疲れていて文章が纏まらないので、ここまで。
てことで、本日5月9日は、「板垣退助、大隈重信、後藤象二郎、勝安芳の4氏に伯爵の爵位が与えられた日」でした。
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オマケ:
旧幕臣華族って、少ないようでそこそこいるんだよね。Excelの練習がてら円グラフにしたのがあるから、ここにも貼っておく。ただの練習だから「ダサい」って言うな(苦笑)
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