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2010年10月14日 (木)

「幕末アンソロジー」(スクウェア・エニックス)

「幕末アンソロジー」(スクウェア・エニックス)
ガンガンコミックス・アンソロジーに幕末バージョンがあったとは知らなんだ。(興味ないけど何故かこのシリーズは知ってる。笑) 英語表記の“Last Zipang Anthology”ってのは悪趣味なデタラメ英訳だとは思うが、まあ別にいいや。
 
私は幕末ドラマは嫌いじゃないが、それよりも幕末史が好きらしい。だから幕末モチーフのファンタジーは嫌いじゃないが、幕末モノなら何でも好きってワケじゃない。この展開は有り得ないとか、キャラクター設定があまりにも「らしくない」とか思った瞬間にシラケちまうことも少なくない。あとBLっぽかったり色恋がテーマなのも個人的にはアウトなことが多いかな。アンソロジーものというのは自分の好みの作品とそうでないものが必ず入っているので、買うのは一種の博打なのだが、個人的には好きな作品がひとつふたつあれば「可」ということにしている。ちなみに私が好きだと判断する確率が高いのは詩的寓話的なものか、そうでなけりゃ設定が思い切りバカバカしいもの。今回は後者に当てはまりそうな作品を3つばかり挙げておくか。
 
まずは未須あゆみ先生の「副長さん」。新撰組モノだ。温厚篤実な山南さんが脱走を決意するまでの経緯を簡潔に描いた作品。絵柄がキラキラしていないのが◎ 土方さんが何故か関西弁だが、このキャラクターには不思議と合っている。
 
新撰組モノを、も一つ。蛇足せんたろう先生の「まいにちしんせん!」。新撰組局長は6歳女子、おそらく先代の娘。隊士たちとの(特に副長との)交流を描いた作品だが、ワガママで可愛い局長が「しんせん!」だ。何かと世話を焼く副長と、局長が可愛くって仕方ない隊士たちの翻弄されっぷりが新撰組らしくなくて良い。よく男ばかりの集団に女子供がひとり加わると雰囲気がガラリと変わると云われるが、これはそんな話を思い出させる作品だ。
 
思わずニヤニヤしてしまったのが、前田オネル先生の「幕末 NEET伝 龍馬」。ニートな龍馬が勝先生の屋敷に転がり込んだ日から福井の殿様に金を借りてくるまでを描く4コマ作品。カッコ良さの欠片もない龍馬だが、ギャアギャア喚いたり「どや顔」で他人にキレイゴトを言う某大河作品の龍馬より余程人間的かもしれない。ついでに彼の師匠だが、カラーイラストに変換するとプラチナブロンドの髪(美しいロングのストレート)に空色の瞳、透けるような白い肌…といった感じになりそうな妙に美麗な男で、標準語の「ですます調」で喋る。着ているものも含め全体的に白っぽいキャラクターだ。(絵柄がキラキラじゃないので、さほど違和感ナシ。)お国言葉丸出しで、癖っ毛の黒髪を無造作に束ね、黒い紋付きを着てる男っぽく黒っぽい弟子とは好対照。この作品、「こんな龍馬はイヤぜよ」みたいなお題で描かれたとしか思えないが、働きたくない、動きたくない一心で身を削り頭を捻る坂本龍馬がバカバカしくて私は好きだ。そんなニートな居候を冷静に見守りつつ、言うべきことはキッパリ言う美貌の勝海舟もアホらしくって好きである。
 
…この本が凄く良かったかどうかは解んないや。個人的には「幕末伝〜浅葱の刻〜」(エンターブレイン)のほうが好みかなあ。本書はちと人選が被りすぎてる。
 
てか、最近気付いちまったんだが、歴史モノの漫画って、読みながら知らず知らずのうちにキャラクターや出来事の意味を脳内補完しながら読んじゃってるような気がするんだわ。だから、キャラクター設定が場当たり的だったり歴史の流れそっちのけで無駄に友情ネタとか恋愛ネタとかやってたりしても、何とか読めちゃう。要は中途半端な知識が作品自体をキチンと鑑賞する邪魔になっちまうことにもなりかねんということなんだが…。(まあドラマの鑑賞と一緒だね。)
 
騙されぬよう構えて留意いたすべし。

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